名古屋白龍 住環境を守る会
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名古屋市立大学名誉教授
山田 明 レポート

マンション建設「待って」

2017年8月8日

 朝日新聞 5 月 15 日夕刊掲載の長らく待っていた 長い記事。リードから―名古屋市で高層マンション 建設をめぐる紛争が相次いでいる。堅調な需要を背 景に開発を進める業者に対し、建設に反対する住民 側の打てる手は意外に少ない。市の対応も、話し合 いを呼び掛けるにとどまっている。

 「えっ、なぜ」。瑞穂区の薬剤師の男性(61)が愛知県警に逮捕されたのは、昨年 10 月。 自宅前の 15 階建てマンション建設に抗議していて、現場監督にけがをさせた容疑だっ た。暴行罪で起訴され、公判中だ。

 「突き飛ばされ、徐行のダンプに背中が当たった」という監督側と、相手に触った覚 えもない」という薬剤師の主張は大きく食い違う。工事はその後も続き、「ギャラリー 公開中」の看板も出ている。男性は建設反対運動のリーダー格だった。住民側は毎朝、 街頭宣伝をして、一帯はものものしい雰囲気になっている。

 周辺は高さ規制の厳しい都市計画法上の「住居地域」で、木造の戸建てや 5、6 階建 て集合住宅が並ぶ。社員寮だった土地約 2500 平方メートルが売られ、15 階建ての高層マンシ ョン計画が住民に告げられたのは 2015 年 10 月だった。

 住民は「マンションの影になり、日が差さない地域になってしまう」と反対。ビル風 なども心配で、「6 階建て以下にして」と説明会や市の調停、地裁への建築差し止め仮 処分申請で主張したが、不調や却下になった。市道から 20 メートルまでは「近隣商業地域」 で、高さ 45 メートルまで建築可能。業者は敷地内の近隣商業地域部分は 15 階建て、はみ出す 部分は 6 階建てにする予定。取材に「分譲マンション建設のため用地を買った。全部 6 階建ては無理だ」と話す。

 ただ、市道は片側 1 車線の生活道路だ。以前は拡幅計画があったが、中止になった。 現場近くに住む建築士渡辺正之さん(73)は「実態に合わせ、全部住居地域に指定してい れば、無理な計画も出なかった。市の不作為こそ問題だ」と憤る。

 瑞穂区のマンションとともに、中区丸の内の名古屋教会幼稚園隣に計画中の 15 階建 て分譲マンションについても紹介してある。教育施設に対する全国でも珍しい条例は、 強制力はないという。市役所に近く、その周辺を何回か歩いたことがある。五十嵐敬喜・ 法政大名誉教授も「裁判所や行政は積極的に介入を」と指摘する。まさに同感だ。