名古屋白龍 住環境を守る会
高層新築マンション建設反対運動 カルティア瑞穂ヶ丘・イワクラ ゴールデン ホーム・日本建設・瑞穂マンション反対

名古屋市立大学名誉教授
山田 明 レポート

「共謀罪」建設反対住民に?

2017年8月8日

 写真は朝日新聞 5 月 29 日朝刊。名古屋だけでなく、東京・大阪・西部本社版にも。 社会面一杯に掲載された東京と名古屋の事例から、共謀罪の怖さが身にしみる。

 沖縄や安保、原発など国政に関わる問題 だけでなく、こうした足もとの身近な問題、 住民運動にも「捜査」の手が伸びるのでは。 名古屋市瑞穂区の奥田恭正さんが言うよ うに、「嫌だ、と言えない社会に」なって しまいかねない。安倍政権、それを盲目的 に支える自公、その「応援団」維新はこう した社会を待ち望んでいる。決して共謀罪 を許してはならない。

 リードから―犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案は 29 日から、参議院での審議が始まる。政府は「一般市民には適用されない」 と説明。一方、法案に反対する専門家は、マンションなどの建設反対運動で一般の住民 に「共謀罪」が適用される恐れがある、と指摘する。

 「私ら、普通のじいさんばあさんですよ。まるで声封じの脅しです」東京都杉並区に 住む金森克之さん(71)は今年 4 月、自宅そばの区立学校の建て替え工事に反対する住民 運動に絡み、警視庁杉並署で数時間、任意の事情聴取を受けた。隣人 10 人前後で今年 2 月に、校門前でプラカードを掲げて工事車両が入るのを防いだ後に測量中の男性が「転 ばされた」と主張し、被害届を出したのが理由だった。住民側は「触っていない」と反 論している。金森さんは今まで住民運動とは無縁だった。だが、昨年 1 月に校舎の高さ を 2 倍の約 39 メートルにする計画を知った。「幹線道路沿いに小中 3 校をわざわざ統合するの はおかしい」と考え、隣人らと「被害者の会」を結成。近隣の日当たりも悪くなる上に、 「地盤調査や地中の杭の長さも不十分では」という疑問も出てきた。住民との合意なし に工事を進める区に不信感を抱き抗議を始めると、業者は今年 5 月、「工事妨害だ」と 東京地裁に仮処分を申し出て、「工事関係者の前に立ちはだかってはならない」などと する決定が出た。

 名古屋市瑞穂区でマンション建設の反対運動をしていた奥田恭正・薬剤師(60)は暴行 罪で起訴され、公判中だ。起訴内容は、自宅前のマンション建設現場で抗議活動中に現 場監督を突き飛ばし、ダンプに背中を当てさせたというもの。

 昨年 10 月、監督にけがをさせたとして傷害容疑で愛知県警瑞穂署に逮捕されたが、 「相手に触った覚えもない」と主張。検察は、けががないときに適用される「暴行罪」 で起訴した。

 低層住宅ばかりの街に一昨年、15 階建てのマンション建設計画が持ち込まれ、奥田 さんは住民約 20 人でつくる反対運動の会の会長になった。取り調べの時、「意外に普通 の人だな」と言われ、色眼鏡で見られていたことに気づいた。

 確かに建設現場前の歩道にのぼりを立て、一斗缶を置いて反対の声を上げていたら警 察官が何度も来た。「これ以上やると、威力業務妨害だ」と警告された。でも警察署に 出向いて事情を説明した。「何が普通で何が悪い市民運動なのか。警察はどうやって判 断するんだろう。家の前に高層ビルができれば、だれでも嫌でしょう。『嫌なことは嫌』 と言えない社会にしていいのか」

 弁護する中谷雄二弁護士も「『共謀罪』があれば、もっと早い段階で複数の住民が逮 捕される危険性がある」と警告する。


 同日夕刊「素粒子」から。 ―建設反対運動も捜査対象になる可能性。「まったく問題はない」。偉い人の声が聞こえ てきそう。共謀罪がある社会。