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名古屋市立大学名誉教授
山田 明 レポート

第5回公判「傍聴記」

2017年12月24日

12 月21 日午後、「奥田恭正さん裁判」の第5 回公判が名古屋地方裁判所であった。
地裁前では、奥田さん無罪を訴える住民が街頭宣伝をしていた。今回も公判開始前から多くの人たちが列をつくり、抽選による入廷と傍聴となった。この裁判の関心の高さを示すものだ。

 まず、検察側の意見陳述が早口で行われた。第4 回公判「橋本鑑定」を信用できないものと論難し、現場監督「被害者」証言は信用できると、理由も曖昧なまま言及。奥田さんの暴行容疑は悪質であり、反省も見られないとして、15 万円の罰金刑を求めた。

 次に、5 人の弁護人が順に検察側に反論する形で、ていねいに意見を陳述した。本件は15 階建てマンションの建設に抗議する地元住民の中心メンバーを逮捕、長期拘留したもので、正当な権利行使に対する弾圧であること。画像鑑定などの専門家による鑑定には、高度の信用性がある。現場監督の被害者、警備担当の目撃者の証言に思いこみと矛盾があり、はなはだ信用性に欠ける。一方で被告とされた奥田さんの証言は、信用できると断言。長期の拘留と不当な取り調べにより、供述調書への署名を余儀なくされたと。

 さいごに、奥田さんが「陳述書」を読みあげた。不当な逮捕と拘留、家族や地域住民らへの思いを切々と語った。「警察はうそを言ってよい組織なのでしょうか。ご主人はやっていけないことをした、と妻に言った」「警察や検察は、被害者らに欺かれたのでしょうか」と。奥田さんの悔しい思いが、法廷全体に伝わったようであった。

これで審議は終了し、来年2 月13 日15 時30 分から、判決が下されることになった。
この日程を決める際に、腹の立つことがあった。弁護側は裁判開始から1 年が経過し、早期の判決を求めた。それに対し検察側は身柄の拘束ではないので、判決を急ぐ必要はないなどと発言。暴行の事実がないのに、犯罪者扱いされ、不安な毎日を過ごしてきた奥田さんに対して、あまりの暴言だ。つい怒りの言葉を発するところだった。

検察側の意見陳述のなかで、疑問に感じたことがいくつかある。なかでも第4 回公判で詳細に説明された「橋本鑑定」を全面的に否定したことだ。画像処理の方法に疑問を投げかけ、鑑定結果は信用できるものではないと断定した。鑑定人は多くの裁判などで鑑定を行ってきた専門家、研究者である。検察側はその鑑定人を侮辱するような陳述に終始した。鑑定人は自らの体調不良、精査するのに時間がかかったと説明していたが、鑑定が遅れたことも批判したのには驚きを感じた。検察側が暴行容疑は悪質などと断定しながら、15 万円という罰金刑を求めたことにも違和感を禁じえなかった。

奥田さんが9 割9 分「無罪」であることを確信したが、油断は禁物だ。判決後に無用な控訴をさせないこと、マンション建設とまちづくりなど、まだまだ課題も多い。