名古屋白龍 住環境を守る会
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名古屋市立大学名誉教授
山田 明 レポート

奥田恭正さん無罪確定!

2018年3月1日

 2 月13 日、名古屋地方裁判所で「無罪」判決を勝ち取った奥田恭正さん。写真は「名古屋白龍 住環境を守る会」のホームページから。

 それから14 日、奥田さんはあの勾留中のような時間の長さを感じたという。私もメールを何度も確認して床についた。朝になっても連絡メールが届かず、やきもきしながら自宅を出た。28 日9 時半過ぎ「奥田さん無罪確定」の投稿がフェイスブックに。続いて奥田さんからの嬉しいメールも届いた。

 検察は判決の日から14 日間に、控訴するかどうかを決める。検察は「原審の判決を覆すのは困難と認め」控訴を断念し、奥田さんの無罪が確定することになった。当然の結論とはいえ、今の検察の状況からして、正直なところ不安でならなかった。高裁での長い裁判が続くのではないか、奥田さんは「被告」の身として、苦しく不自由な生活を強いられるのではないかと、正直なところ心配していた。

 そう考えたのも、刑事事件の裁判では、被告人は99.98%が有罪といわれるからだ。裁判の途中で、周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」を思い出した。刑事事件の怖さを考えながら、奥田さんの薬局を訪ねたことも。裁判を傍聴していたときも、この数字が頭から離れなかった。地裁での無罪判決後、メンツを重んじる検察は控訴に動いたのではないだろうか。メンツにこだわるには理由がある。この裁判は「共謀罪の先取り」事件としても、マスコミから注目され、全国的にも広く知られるようになった。奥田さんだけでなく、多くの国民と向き合う問題になり、検察としても引き下がれないのではないかと。だが、検察のメンツよりも無罪の判決の「重み」、真実が勝った。

 13 日の判決の日のことを思い出す。あの時、例によってクジ引きにはずれ、法廷のドア近くで聞き耳を立てていた。数分後に、法廷から「無罪だ」と傍聴人が飛び出してきた。法廷内外から大きな歓声と拍手。すぐに「注意」の声が。このあと、地元の人の好意で傍聴させてもらった。裁判長の声はよく聞こえた。いつもは「ボソボソ」と話し、つい「もっと大きな声で」と言いそうになったことも。裁判長は「被害者」の現場監督らの証言は信用できないなどと、奥田さん無罪の判決理由を説明した。

 判決報告会のことも思い出される。國田弁護団長は無罪判決を評価しつつ、「事件」の真相に背を向ける判決に疑問を投げかけた。大阪の針谷弁護士はいう。控訴のことを考えて、裁判長はわざと「あいまいな判決」にしたのではないか。真偽はわからないが、検察は控訴を断念して、これで奥田さんの無罪が確定した。さて、これからどうなる、これからどうするかだ。まだまだ名古屋白龍から目が離せない。