名古屋白龍 住環境を守る会
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名古屋市立大学名誉教授
山田 明 レポート

奥田さん無罪を勝ち取った「力」

2018年3月2日

 名古屋市瑞穂区白竜町の高層マンション建設反対運動のリーダー・奥田恭正さん不当逮捕、裁判を1年半余り見つめてきた。2 月13 日午後、名古屋地裁は奥田さん無罪の判決を下した。マンションは「完成」したが、白龍の運動、まちづくりは今後も続くだろう。奥田さん無罪が確定し、住民運動も新たな段階に入る。ここでは、奥田さん無罪を勝ち取った「力」について書きとめておきたい。

 第1に、被告の汚名を着せられた奥田さんと奥さま、ご家族の「力」である。奥田さんは薬局を経営され、自宅前にマンションが建つことを知り、周辺住民とともに抗議の声を上げた。私も初めてお会いしたときから感じたが、温厚で話しやすい人柄であり、住民の「リーダー」的存在になった。その奥田さんを狙い撃ちするように、冤罪と言える「事件」は起こった。3 畳ほどの留置場での勾留は、逮捕から14 日間も続いた。奥田さんは薬局や家族のことが心配で、精神的にかなり動揺したが、「暴行」の容疑を否定し続けた。一刻も早く自宅に戻りたく、「自分がやったと言えば帰れるのか」と尋ねたという。裁判中を含め、一貫して「暴行」を否定したことが決定的だった。

 第2に、奥田さん弁護団の「力」である。國田弁護団長は、法廷に響き渡るような声で、身振り手振りを交えて奥田さんの無罪を主張した。検事に対してもベテランらしく果敢に応戦していた。監視カメラの鑑定など、詳細な調査にもとづく尋問を行った佐橋弁護士、塚田弁護士。そして「被害者」現場監督の事件当日の飲酒などを鋭く追及した中谷弁護士。これら地元の弁護士だけではなく、大阪の針谷弁護士、京都の飯田弁護士、東京の日置弁護士らが弁護団に加わったことも大きかった。五十嵐敬喜・法政大名誉教授の力も。「全国弁護団結成」という看板が、マンション建設の現場近くに掲げられたことにより、裁判の全国的な広がりを感じさせた。

 第3に、何といっても地元住民とそれを支援する人たちの「力」である。建設現場で毎朝、抗議を続けた住民たち、とりわけ女性陣のパワーには感心した。法廷での抽選を待つ住民たちの長い列。抽選に外れた私などにも、傍聴券を譲ってくれた住民の皆さん。地元住民の活動で特徴的なのは、マンション現場を取りまく数多くの看板、ポスター、それと「かわら版」とホームページ。住民それぞれの持ち味、専門性を活かし取り組んだ粘り強い活動。そんな住民たちを支援する地元や全国の仲間たち。とりわけ「景観と住環境を考える全国ネットワーク」は、検察に控訴断念を求める緊急署名などでも大きな力を発揮した。共謀罪の先取り事件として、この裁判に注目したマスコミの力も。