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99.9%の壁を突破!

2018年2月14日 上村千寿子レポートより

有罪率99.9%と言われる刑事裁判で、勝訴を勝ち取った昨日の名古屋地裁の無罪判決について少し詳しくレポートします。

隣で建設されるマンションの現場監督に暴行したとして起訴されていた奥田さんへ、無罪判決が言い渡されました。日本の刑事裁判で有罪になる率は99.9%と言われています。一説には99.98%とも言われますから、その場合は1万分の1の確率ですら、事実から考えれば当然の判断とは思いますがそれでも無罪は大変なことです。

判決言い渡しの瞬間、傍聴席からは「よっしゃ!!」の声。入りきれなかった50人もの人が待つ法廷の廊下からは一瞬遅れて「わー!!」という喜びの歓声が響きました。

判決では、
1.被害者は当初の「両手で強く押された」と証言していただ、後に手をグーに握ったままだったと変わったり、防犯カメラ映像から奥田さんは腕組みのままで、両手で押す動作をしていないことが明らかで、証言に一貫性が無く信頼性に疑いがある。
2.被告の奥田さんには意識的に押したとまではいえないが、何らかの力が加わって被害者が後ろに倒れた。
3.ガードマンの証言は、監督の証言や現場の状況と食い違うので、多分に想像が含まれていると考えられ、信頼性に乏しい。

その後の記者会見では質問に弁護士さんが答えて
1.無罪になったのは大変良かったが、もともと怪我をさせたわけではなく、2週間も勾留されたり起訴されて1年以上も裁判で争うような事件ではないはずだ。ただ奥田さんはこれで自由になったわけでは無く、今も保釈の身で判決が確定しなければ本当に無罪とはいえない。1日も早く自由になるべきで検索には控訴しないことを求めたい。
2.判決に不満な点は、奥田さんはどうみても押していないのに判決では「被害者はなんらかの力で後ろに倒れてダンプにあたった」としている点。これは検察が控訴しにくいように多少検察の主張も受け入れたとも解釈できる。それと被害者が怪我をしたと主張する場所と、診断書の場所が左右逆なこと。これは被害者の証言が虚偽であるかどうかを判断する重要な点だが、これに判決は触れていない。
3.普通に暮らしていて隣に15階のマンションができる。とんでもないと思うのが普通だろうが、地域にそぐわない建物でも法的には問題にならないことが多いので、話し合いで利害を調整できればよいが、そういう仕組みが日本にはない場合が多い。以前は裁判で一定の調整が図られたが、今はほとんど機能しなくなっている。
だからこういう反対運動は全国で起きていて、現場で口論になるというケースも多い。しかし、起訴されるというのはほとんど起きていない。警察が一方的に事業者の言い分を認めて起訴するというのは希な事件。そのリーダーが警察官、上場企業の社長、医者だった例を担当したことがあり、だれでも当事者になる可能性がある。
4.憲法では言論の自由とともに幸福追求権が保護されています。自分が住む町について、だれでも意見を言う権利があり、自分たちの街をどうするかは自分が決めることができるはずだ。
そういう市民が持つ権利を確認する上で今回の判決は重要なもので、無罪を勝ち取ることができてよかった。
5.今後判決が確定したら、損害賠償訴訟についても検討したい、これが工事を進めるための住民運動潰しだとすれば、当然使用者責任もあるわけでその点についても検討していきたい。

奥田さんからは
自分では無罪だと確信していたが、判決が出るまでは心配だった。法廷では裁判官の目を見たが目をそらされたので一瞬だめなのかと思った。
取り調べてつらいと思ったことはなかった。ただ14日間拘束されるのはつらかった。このまま拘置所で裁判を迎えるのかと不安だった。

2016年の景住ネット全国集会が2週間後に迫った頃、奥田さんは突然逮捕されました。もう2週間に迫っていたので大会は開いてほしいとお願いしましたが、白龍町のみなさんはこの事件にまけず大会を開き、大成功させました。そしてここまで1年あまり、弁護団とともに頑張ってこの判決を勝ち取りました。

奥田さん、弁護団、住民、支援者、どこが欠けてもこの無罪判決になったかどうかわかりません。
弁護士さんがこれほど一生懸命に戦ってくださったのはやはり住民や多くの人の必死さが伝わったからです。

ほんとうにみなさんお疲れ様でした。
2週間が控訴期限です。検察が控訴しないでくれるようぜひ祈りたいと思います。
控訴しないことを求める署名にご協力いただける方、ぜひ協力をお願いします。

上村