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令和5年9月8日の証人尋問について

当方が証人申請していた3名のうち、小山剛教授(慶応義塾大学法学部)及び水野陽一准教授(北九州市立大学法学部)の2名が採用されました。

小山教授の専門は憲法で、基本的人権の分野において顕著な業績を挙げられ、本件においても、一審では、「憲法上の個人情報保護についての基本的な考え方」、控訴審でも、「憲法上の個人情報保護についての基本的な考え方・補論」と題する意見書を作成していただき、証拠として提出しています。

水野准教授の専門は刑事法学で、刑事手続における個人情報の保護、個人の尊重のあり方、被疑者・被告人の法的地位等に関心をお持ちであり、本件においても、一審では、「刑事手続における個人情報保護のあり方について」、控訴審でも、「警察の捜査、検察の起訴のあり方と国家賠償法上の違法について」と題する意見書を作成していただき、証拠として提出しています。

一審でDNA等のデータ抹消請求が認められたのは、小山教授及び水野准教授の意見書の証拠価値によるところが大きく、控訴審でも画期的判決を維持するための強力な武器となりますし、水野准教授の控訴審での意見書は、一審で退けられた国家賠償請求認容への道を切り開く新たな武器といえます。証人尋問では、当方の主張の正当性・妥当性をより説得的にご証言いただけるものと思います。

>他方、奥田さんを公判請求したS検察官の証人尋問は、残念ながら採用されませんでした。

高裁から釈明を求められた国側の回答によると、S検察官は、①防犯カメラの画像から、現場監督が前方から何らかの衝撃を受けて後ろによろめいたことを確認した、②現場監督の供述内容と防犯カメラの画像に矛盾がないかどうかについて確認し、その結果、現場監督の供述が客観証拠である防犯カメラ画像によって裏付けられていると判断し、現場監督の供述が信用できると認識した、などと述べているようです。

しかし、①防犯カメラは奥田さんの背後に設置されており、その映像には奥田さんの両手の動きが映っていないのに、なぜ、現場監督が前方から何らかの衝撃を受けたと判断できるのか、という疑問が生じてきます。

また、②現場監督は当初、「奥田さんから両手のひらで突き飛ばされた」と述べていたところ、それが本当であれば、奥田さんが左手に握っていたスマートフォンは落下するはずであるのに、防犯カメラの画像を見ても、それが落下した様子はありません。その他にも、防犯カメラの画像を見る限り、仮に現場監督が背後のトラックに背中をぶつけたとしても、背中の右側であることは明らかであるのに、現場監督は左背部を打撲したと医師に訴え、その旨の診断書を提出しています。このように、現場監督の供述は、防犯カメラの画像によって裏付けられるどころか、むしろ、防犯カメラの画像と矛盾しています。

したがって、本来であれば、この疑問点をS検察官の証人尋問によって質す必要があるはずであり、S検察官の証人尋問を採用しなかった高裁の判断には首を傾げざるを得ませんが、この点に関しては、証人尋問を実施するまでもなく、検察官として通常要求される捜査を怠ったことは明らか、と高裁が考えてくれているものと信じたいです。

以 上